口腔筋機能療法とは?
口腔筋機能療法という言葉を聞いたことがありますか?
これは歯科で行う治療の1つで、口腔周辺の筋肉のバランスを整えるための治療です。
口腔周辺の筋肉はそれぞれが異なる役割を担っています。
それら全てが連携してスムーズに働くことでお口まわりのバランスを保っています。
バランスが乱れると、歯並びの悪さやその他の不調和に繋がります。
それらを引き起こさないために、訓練によって正しく整えることで再度バランスを取り直し、より良い口腔機能を維持していこうというのが口腔筋機能療法です。
口腔に装置をつけて歯並びの改善を行う矯正とは違い、訓練によってより良い口腔機能を取り戻すためのもので、 矯正治療の1つとしてだけでなく顎関節症の治療などにも取り入れられています。
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目次
こんなお悩みありませんか?
- 矯正治療を効果的なものにしたい
- お子様のくせが気になる
- 自然な方法を選択したい
- 口腔筋機能療法とは何なのか知りたい
- 機能訓練によってお子様の歯並びを治したい
- 発音、嚥下などお子様の口腔機能についての悩みがある
歯並びが乱れるくせや習慣
歯並びが乱れる原因には次のことが影響するとされています。
●片側噛み
右か左、片側だけを使って噛んでしまうことを片側噛みといいます。
この片側噛みは、口腔の筋肉がバランス良く発達しずらくなるとされています。
片方だけで噛むとそちら側の筋肉だけが発達し、反対側が未発達になりがちです。
そのため左右のバランスがとりにくくなり、結果歯並びが悪くなってしまう可能性があります。
その他顎関節症のリスクが上がるのも片側噛みの特徴です。
●舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)
舌突出癖とは、安静時や食べ物を飲み込むときに上下の前歯の間に舌を突出させるくせのことを指します。
本来であれば舌は、口を閉じた時に上顎の前歯あたりに位置し歯に圧力はほとんどかかりません。
しかし舌突出癖があると、前歯に圧力がかかり歯並びに悪影響を与えてしまいます。
●指しゃぶり
指しゃぶりは子どもの成長過程においては必要なことですが、できれば3歳頃までにやめられるとよいでしょう。
この時期になると歯の形成時期に入ります。
そこに指しゃぶりのくせが習慣化していると、歯並びが乱れやすくなるとされています。
常に前歯が開いている状態の開口、上の前歯が出てしまう上顎前突などが起こりやすくなります。
●歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりと食いしばりは子どもにも起こるくせの1つです。
歯の交換期であれば、歯並びの高さを調節するために一時的に歯ぎしり・食いしばりが起こることもありますが、あまり心配する必要はありません。
しかし普段から頻繁に歯ぎしりや食いしばりをするくせがある子どもは、噛み合わせや顎関節に負担がかかり口腔周辺の不調和を引き起こしてしまう可能性があります。
●口呼吸
鼻に疾患がある子どもに口呼吸はよく見られがちです。
口呼吸は、口の開いた状態が続くため唇を閉じる筋肉が発達しづらくなります。
すると歯列の広がりをうまく促進できず、結果として歯並びが乱れる場合があります。
●頬杖
無意識のうちに頬杖をつくくせは、顎や歯の一部分に余計な力が加わります。
特に片方だけにつくくせがあると、どちらかの歯列が内側に入り込んでしまいよく動きやすい子どもの歯列にとっては悪影響となることがあります。
馬橋歯科医院の口腔筋機能療法(MFT)の特徴
馬橋歯科医院では、指しゃぶりや頬杖といった日常生活で見られやすいくせを治し良好な口腔環境を目指します。
その上で、子どもには歯並びの成長を促進するために口腔筋機能療法(MFT)を行っています。
口腔筋機能療法(Oral Myofunctional Therapy)は、お口まわりの筋力強化や動作・くせの改善を図るための治療方法です。
どのような動作にするか歯科医師と相談し合って、その内容を毎日決まった時間に行ってもらうよう勧めています。
始めの時期は効果を感じづらいですが、毎日繰り返し行うことで効果が現れる治療法です。
詳しい治療の内容についてご紹介します。
●口まわりの筋肉の訓練
口腔周辺の筋肉を鍛えるための訓練です。
これは鍛える動きをするだけでなくリラックスすることも目的としています。
弱い部分の筋肉を鍛えることで全体の調和を図ります。
実際の治療の例として次のことを行います。
・「ぎゅっ」と噛んで咬筋(噛むときに使う筋肉)の動きを意識させる
・舌を後方上に持ち上げる動作する
・ボタンなどの小さなものを使って、唇と歯に挟んで落とさないようにする
など
●動作の訓練
発音や嚥下の機能を鍛えるための訓練をします。
嚥下とは食べ物を口から胃へと運ぶ一連の動作のことをいいます。
治療例は次の通りです。
・「あー」「いー」など大きな口を開けて発声をする
・奥歯を噛んだまま水を飲む
・水を口腔内で集める訓練
など
●舌位・唇の位置の訓練
舌や唇には正しい位置というものがあります。
舌は上顎の前歯の裏側あたりにつけておくことが正しい位置です。
これ以外の位置に動いてしまうと歯を押し出してしまったり、飲み込みの時に問題が出ることもあります。
また唇の位置も正しい姿勢などと合わせてキープできるように訓練します。
口腔筋機能療法(MFT)のメリットとデメリットについて
メリット
●矯正治療を短くすることができる
口腔筋機能療法は筋肉の正常な発達や舌や唇の位置を正しい位置に促す療法です。
お口まわりの環境が整うことで矯正治療の効果が出やすいとされています。
●顔の印象が良くなる
お口まわりの筋機能が向上し、口腔環境が良くなることで口角が上がったり表情が明るくなったりと顔全体の印象改善につながる可能性もあります。
●矯正治療後の後戻りを防止
筋肉が正しく動かせるようになり唇や舌が正しい位置を覚えることで、矯正治療後の後戻りを防止することが期待できます。
矯正治療後の後戻りは、悪癖により起こりやすいといわれています。
習慣づいたくせがあると 顕著な後戻りが見られる患者様もいらっしゃいます。
これらのくせを腔筋機能療法によって除去しておくことで。矯正治療後の後戻りを防止できます。
●自然な方法で歯並びや機能の改善
矯正装置をつけることは、お子様によっては違和感があったり嫌だと感じたりするかもしれません。
しかし口腔筋機能療法は装置を使わず、自然にその子が持つ力で、口腔機能を良い方向に導きます。
発達途中である子どもだからできる積極的で自然な治療法です。
デメリット
●効果が確実でないこともある
口腔筋機能療法は、あくまで筋肉を鍛えて正しい口腔機能や歯並びを手に入れようとするものです。
矯正装置などで物理的に強い力をかけて動かすわけはないため、効果が確実ではないケースも考えられます。
しかし、歯並びに対して目に見える効果がなくても、矯正治療の一助となったり、飲み込みや発音などの発達の助けになっている可能性は大いに考えられます。
●子どもによっては継続的なトレーニングが大変
口腔筋機能療法は毎日続けることがとても大切です。
そんなに多くのトレーニングをするわけではありませんが、やはり日常の継続となるとお子様によっては続けることが大変なケースもあります。
歯科医院でも楽しんで行えるような工夫をしながら治療をしていますが、継続するためにご家庭でも工夫をしていただく必要があります。
●どうしても改善しない時は装置が必要なこともある
さまざまな不調和を口腔筋機能療法で改善できればいいのですが、もし自然にはどうしても除去できない場合は、矯正装置をつける必要が出てくることもあります。
改善が見込める症状
歯並び・噛み合わせの改善
口腔周辺の機能バランスが整うことで、歯並び・噛み合わせの改善が期待できます。
歯の並び自体を正常に導くこともできますが、顎の発達が正常に行われることによって 歯列の大きさが整い、歯並びや噛み合わせの改善につながるケースもあります。
顎関節症の治癒
口腔筋機能療法は子どもの歯並びや噛み合わせの改善に取り入れられていますが、最近では顎関節症の治療にも取り入れる医院が増えてきました。
また、片側噛みや頬杖などは顎関節症の原因になりうるものです。
顎関節周辺の脆弱性が顎関節症につながるという説もあります。
そのため口腔筋機能療法による筋肉のトレーニングは、 顎関節症の治癒にも効果があるとされています。
口腔機能全体の改善
口呼吸、発音、飲み込みなどは口腔機能療法によって改善の見込みがあります。
また笑顔が明るくなる、口角が上がるなどの効果もあり。
お顔全体の機能にも影響をおよぼすのがこの口腔筋機能療法です。
また、これらをよくすることで歯並びを良くしようというのが口腔筋機能療法です。
口腔筋機能療法(MFT)の治療の流れ
ご来院・受付
来院されましたら、受付にて保険証及び診察券(再診の場合のみ)のご提示、問診票へのご記入をお願いいたします。
ご相談・カウンセリング
診療台にてカウンセリングを実施し、以下のことについて伺います。
・治療へのご希望
・治療に対する不安
・過去の治療で嫌だったこと
・お体に治療中のご病気がないか
精密検査
以下のような精密検査を行います。
・レントゲン撮影
・ミラーや探針を使った検査
・スタディモデルの採取(お口の型取り)
Ⅰ期治療より移行されてきたお子様、Ⅰ期治療で床矯正などと並行してマウスピース矯正を行うお子様は、追加のカウンセリングや検査が必要のないケースもあります。
治療計画の説明
検査結果を元に、以下のことをご説明します。
・現在のお口の状況
・具体的な治療法
・その治療法によるメリット・デメリット
・治療にかかる費用や期間
治療計画をご説明し、患者様の同意を得られた時だけ治療を行います。
無理に進めてしまうことはありませんのでご安心ください。
治療・通院
MFTに必要な動きや注意点についてお伝えします。
口腔機能が改善に向かっているかどうか、お子様の発達と合わせて定期的に拝見いたします。
治療期間中にはその他に次のことを行います。
・虫歯や歯周病の症状が見られる場合には、それらの治療
・歯磨き方法のレクチャー
・口内炎や知覚過敏などの不快症状が現れた場合には、レーザー治療
メインテナンス・定期検診
問題がなければ、一般の定期検診、予防歯科へと移行します。
よくある質問
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どうしても継続が難しい場合はどうすれば良いですか?
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何か工夫できることがないかご相談をお受けしています。
まずは1度ご来院いただきにご相談ください。
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矯正治療と並行して行うことはできますか?
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矯正治療と並行して行うことで、より効果が出やすいケースもあります。
どのように組み合わせるかについては、カウンセリングで決定していきます。
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大人でも効果がありますか?
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当院では基本的にお子様の歯並びや噛み合わせを整えるためにこの口腔筋機能療法を行っています。
しかし大人にも効果があり、顎関節の治療の現場や、摂食嚥下の訓練が必要な高齢者にも行われている治療法です。
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具体的な効果はいつ分かるのですか?
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筋肉トレーニングの効果が突然分かることがないのと同じで、口腔機能も日々の積み重ねの中で自然に変化していきます。
そのため、ご来院の際に経時的に記録を取り、変化を追っていくようにしています。日々の少しの変化だと分かりにくい部分も意識することで、モチベーションアップのお手伝いをいたします。
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口腔筋機能療法には特別なリスクがありますか?
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特にリスクはないと考えていいでしょう。
間違ったトレーニング方法をしてしまうと不要な緊張につながってしまう可能性もありますが、ご来院いただき様子を見ながら続けることでそのようなリスクを減らせます。
著者 Writer
- 福岡実千世
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